故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

ベルギーへの想い My thoughts for Belgium

ブリュッセルの有名な観光地、グラン・プラスで2年に一度、開催される「フラワーカーペット」。

今回のテーマはなんと「日本」。鶴や鯉の文様が全て生花を使って表現されています。今年は奇しくも日本ベルギー友好150周年記念イヤー。

10月にはベルギー国王夫妻も日本を訪れる予定です。

夫は何だかすごい年に亡くなりました。

(写真はジルの姉、シルヴィーが撮ってきてくれました。)

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 つい先日、夫の映画がベルギーで遂に封切られ、それに伴って「ベルギー在住の日本人の方へのメッセージ」を依頼されてまとめてみました。良い機会をいただきました。私がベルギーで過ごした2010~2013年の思い出は、何を思い出してもこみ上げてくるものがあります。

ここにも転記させて頂きます。

 

<ベルギー在住の日本人の方へのメッセージ>

 

 夫の故郷、ベルギーは私にとって今でも大切な家族、多く友人が住む特別な場所です。2010年の秋から約3年間、結果として私の二人分の育児休暇を使い、ブリュッセルのフォレ地区に住んでいました。それゆえ、今も私の“ママ友”との思い出といえばベルギーです。外遊びの会、プチコパン、コーラスあじさい・・などいろいろなところに顔を出しては、大変親切にしていただきました。故国を離れているゆえ、どこか結束力もあって、組織を離れた場所で公平で楽しくて。私の人生の中でも忘れられないひと時だったと思います。

 今回、夫が母国のテロで亡くなるという思いがけない事件に際し、あの頃のどこか牧歌的な日々が大変懐かしく、そして切ない彩りを持って、私の胸に度々蘇ってきます。すべては夫が繋げてくれた縁で有ったなぁと、感謝の気持ちが湧いてくると同時に、もう戻らない日々にこみ上げてくるものがあります。

 夫は奇しくも“映画”という感情に働きかける装置を残して逝きました。しかも題材は日本・福島でした。日本とベルギーという2つの国の文字通りの架け橋となり、それを強調する形でこの世から去って行きました。「カルチャーとネイチャーが好き」と出会った当初から言っていた通り、福島の美しい自然に故郷ブイヨンの自然を重ね、慈しむとともに、それを映画という文化の形に落とし込んだのです。遺作となるとは夢にも思っていなかったかもしれませんが、彼の言いたいことは全てこの中に存在させることが出来て、ある意味、本望だったのではないかと思います。

 仲間である皆さんの日々の安全、健康と幸せをここ日本から全力で祈っています。それと共に、夫の残した映画という不思議な力を持つメディアを通して、困難な時代に一緒に立ち向かっていく勇気と力をシェアし、大きく育てていただければと願っています。私も引き続き、この2国間の中で考えることや語ること、祈ることを続けさせて頂こうと考えています。ありがとうございます。