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故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

京都国際映画祭「残されし大地」上映を終えて。Kyoto International Film Festival

10月16日、満月の日。

ついに京都国際映画祭が無事に終了しました。

 

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ジル、大好きだった街、京都での上映おめでとう。

(ところで、泊まったホテルの部屋番号が916でびっくりしました。ジルの誕生日と同じナンバーです。)

 

夫、ジル・ローランが亡くなってから半年あまり。

NHKおはよう日本で放送されて、思いがけない反響を頂いてから1ヶ月あまり。

映画が人を旅させると言っても、こんなにも大きなスケールの旅が出来るんでしょうか。

 

文字通りの、私の具体的なこの日の旅の様子はといえば、

早朝、友人のヘアメイクさんに自宅で見た目を整えてもらってから

新幹線で京都入り。ホテルで服を着替えてから、

最初の仕事はホテルオークラのカフェで映画雑誌の取材です。

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(撮影はずっと付き添ってくださった配給会社・太秦の福士さん。舞台前でもあり緊張の面持ちですね。)

 インタビューのたびに、一生懸命頭の中と胸の中を探って、言葉を引き出してもらい、相手の方からも意見や感想を頂いて整理されていく。

 そうすることで、どんどんこの映画の輪郭がはっきりしてきたところがあります。ひとときの暗闇から抜け出して、言葉がどんどん増えてきて、行動も増えてきました。まさに一歩ずつ、一歩ずつの緩やかな歩みでここまで来ました。

 

 この日はインタビュアーの方に、「この映画はドキュメンタリーというよりも、もっと詩的な表現がありますから、”フィルムエッセー”という言葉があるんですが、そんな感じですよね」という言葉をもらって、なるほど・・という収穫が。

 

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 そしていよいよ16時05分の登壇ですが、本当にこの時のことを想像してどれだけの間、緊張して過ごしていたことか。

 言いたいことのポイントは、事前に活字で自分なりにある程度まとめるものの、この前の高崎でもそうでしたが、結局紙を見るより観客席を見ることだと。胸の中から出てくるその時の言葉を熱く出していくしかない、と思い臨みました。

 それに、この映画の大きな味方である総合プロデューサーの奥山和由さんとの登壇ですから、大船に乗ったつもりでOKです。総合司会の清水圭さんもパワフルで思いやりに溢れていて、頼りになる存在でした。

 お客様の数はフタを開けてみてびっくり、300名ほど。ちょっとレトロな緞帳が下がり、脇には花道もある祇園会館の赤いシートが、ベルギー本国と同じようにほぼ埋まっているように見える光景は感動的でした。

 

 そして最も華やかな場面は・・もう既に多くのワイドショーやネットニュースでも流れているので説明はいらないほどですが、

 眩いくらい美しかった高島礼子さんとのトーク。

 

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 まさか、こんな方に私の人生に於いて花束を頂く日が来るとは思いませんでした。多くのニュースの通り、しばらくぶりに公の場に姿を現されたということで話題になっていますが、私が一番印象的だったのは、さりげない優しさと明るさです。

 まず楽屋でお会いしたときに開口一番に、「あの”陽はまた昇る”という詩は、玲子さんが書いたんですか?」と。まさか事前にブログをチェックしてくださっているとは思わなかったのでびっくり。

 その他にも、「40時間も撮影したフィルムがあったんですってね・・」「音の効果で、本当に引き込まれていってしまって」というふうなことをお伝えくださり、丁寧に映画を見て、ご自分の胸の中にしっかりと入れた上で、この場にいらしてくださっていることが分かりました。楽屋で皆が進行表を確認し始めた時、たまたま私の眼の前にそれがなかったのですが、ご自分のものとさりげなくシェアして見せてくださったり。

 いざ登壇と立ち上がったお姿をあらためて目にして、思わず「眼の覚めるような美しさですね・・」と言ってしまうと、「いえいえ、たくさん(メイクを)してますから〜」と謙遜していましたが、とんでもない。もともとのお肌が格別きれいでないと、こうは輝きません。

 この日のアイボリー色の艶やかな着物の印象とも相まって、私の中では、光り輝く女神にお会いしたような思い出となっています。

 

 ところで、高島さんの笑顔の話だけではなくて、この私が笑顔になった瞬間のことを書いてくださっているメディアもありました。「〜〜〜と言われると玲子夫人も笑顔に。」など。一体、こんな悲劇のあった人がどうやって生きているのかな・・ずっと沈痛な面持ちなのではという想像もあったのかもしれません。

 高崎で会った方にも、「時々、発狂しそうになることなんてないんですか?」と聞かれたこともあります。経験していない分、想像を絶すると。それはそうですよね。

 けれども、人間ってどんな悲劇があってもこうして生きていて、人生観が大きく作り変えられることがあっても、以前と同じように、同じような冗談で笑ったり、ふざけたりもしつつ、生きていけるものなんですね・・。

 それはどうしてだろう、と言われても私もよくわかりません。「陽はまた昇る」としか言いようがない、不思議な感覚です。心の中に大きな穴は開いていても、そこにいろいろな光が形を変えて入り込んでくるような・・。

 ジルが亡くなったことを忘れる日はないし、今も時々身体の動きが止まる瞬間があります。でも同時に、生命って不思議に強いな・・とも実感しています。

 でも、そんな素朴な疑問(「大丈夫なのかな?」というような)を投げかけてもらうのは「気にかけてくれている」ということが伝わるものでもあり、人間的な反応ですから有難いものです。

 

 ところで幾つかのメディアで、「映画のテーマは夫婦愛」とありましたが、それは誤報です。(ちゃんと映画のリリースを読んでくださいな〜〜。)

私が亡き夫の映画の遺志を継いだということで、新聞の見出しに「夫婦愛」という言葉が踊ったことはありますが、それはあくまでも映画にまつわる「後日談」であって、映画そのもののテーマは「福島という大地で生きる人々」の話です。

 

 それにしても、高島さんが、私が書いていた詩に何気なく言及してくださった効果であることは間違いありません。昨日、今日ともにこのブログのPVが約1000に迫る勢いでびっくりです。

 

高島さんにお渡し頂いた花束はとても大きなものでしたが、宝物です。

高さ1mほどです。

東京まで新幹線でヨイショ、ヨイショと持ち帰り、特大の花瓶を買って飾っています。

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映画「残されし大地」2017年春公開予定。

高島さんも「みなさん、素敵だと思ったらどんどん宣伝して応援してね!」と言ってくれたという思いもかけない巡りあわせ・・。

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