読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

iPad Pro 秘話。 A secret story about my iPad Pro

f:id:Gillesfilm:20170128204444j:image

こどもが専用のペンで描いた、ハートの風船。カラフルなスクリーンセーバーとなってくれています。

 

うちのiPad Proはティム・クックさんからのプレゼントです。

 

・・というと、ほとんどの方が目を丸くします。たまたま部品を買いに行った先のアップルストア表参道店のスタッフにも「本体はどちらでお買い上げになりましたか?」という何気ない質問に「実はこれは・・」というと、のけぞり、びっくりしていました。

 

いきさつはこうです。

夫が亡くなった時のリュックに入っていたMac Power Bookは当然破壊されました。けれども、大事な写真などが多く残された内部のハードディスクだけでも復元できないだろうかと、ベルギーの義姉がショップに持って行って相談したところ、最終的にティム・クックさんのところまで通じ、直々にメッセージが届いたのです。

 

「ハードディスクの修理に全力を尽くすとともに、何か替わりのものを一つ、ご家族にプレゼントしたい」と。

 

4月のある日、義姉から「レイコ、CEOのティム・クックさんが何でもお好きなものをひとつ差し上げると言っているけど、何がいい?」というメールが。これには当然、私ものけぞりました。

突然だったのもあり慌てましたが、少しだけ調べて、そして”少しだけ”謙虚に、当時話題だったiPad Proを指名しました。立派なiMacやPower Bookを頂いてしまうよりも高すぎず、けれども新しいゆえのワクワク感もあり、何より子供たちにお絵かきをさせたりという「家族で使う」という目的に変換できて良いのかなと。

 

「あなたの落としたのは金の斧? 銀の斧?」にも似た質問でした(笑)。えっと、金でも銀でもないけれども、ブロンズくらいかな。でも、それより何より、大事なハードディスクを復元してくれたことの方が嬉しかった。それはれで、もちろん大切に取ってあります。

 

思えば、「その人がその時に使っているコンピュータ」は、その人の頭や心の中がそのまま反映されたものであり、まさに分身でもあります。(夫のようにフリーランスで動いていたような人間で、ガラケー派だったような人間ならなおさらでしょう。)

その人の残した分身、という重要性に基づいて・・・それに対して、心を込めて全力を尽くしてくれたベルギーのアップルストアの方とティム・クックさんに、私は今も感謝しています。ジルに限らず今までも私自身、プライベートではマック派でしたが、これからもどちらかというとずっとMacファンでいようと思います。

 

実を言うと私の夫は、保証的なことに関しては、「ないない尽くし」の亡くなり方をしています。残念ながら政府からの保証もないし、フリーランスなので労災もなく、これは自己責任だけれども特に生命保険にも入っていませんでした。けれどもこのコンピュータに関しては保証書なくしても、全くの好意でハードディスクは生き返り、そして”再生の証”のようなプレゼントまで付いてきました。なんとなく、見ると温かい気持ちになる一品です。

 

 ティム・クックさん、ありがとうございます。そしてこのエピソードを先方からはどこにも公表していないのがまた粋。私の方からささやかですが、少し公開させてください。