故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

感想コラージュ。Feedback from early audience in Japan

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⇧「水と土で生きる」という登場人物の半谷さん。

 

昨年末からの1日上映会や、マスコミ試写会で頂いた印象的だった感想をコラージュします。

 

素晴らしい映画でした。美しい日本の自然の風景、音、全てがじわじわと染み渡ってきて眠ってたDNAが揺り起こされるような。(40代女性)

 

強くて温かい作品でした。

周囲からすると
「そんな決心、普通は出来ない。
 少なくとも自分には絶対真似できない…」
としか思えないような強い意志を貫いて何かを進めてしまう人って
すごく普通の温かい人だったりするんですよね。
自分のすぐ傍にも そんな人がいたので、思い出しました。
そして、松村直登さんも ジル・ローラン監督も、
そんな方たちなんだろうなと、映画を拝見しながら思いました。
それと、とっても驚いたのは「音」です。
枝を踏む音、小石の落ちる音、虫の音、風の音…。
そういう微かなはずの音が 生のまま身体に飛び込んでくる感覚でした。
もちろん、音を調整した上でのことなんでしょうけれど、
正直 そうした調整を全く感じることなく
生音として聞いている感覚にしてくれる 心地良い音作りに驚きました。
3月からの全国順次公開でも、
ご主人の想いが より多くの方々に伝わることを願っております。(40代男性)

 

どこの国にいても自然を美しいと思いますが、この映画を見て、自分の育った日本の自然が五感の全てを通して細胞レベルに染み渡っているんだなと感じました。
フクシマで起きたことが、明日自分の周りで起きないとは限らない。そのシンプルな事実を静かに見せてくれる映画です。(40代女性)

 

日本にとって、地球にとっても、大変貴重で重要な作品だったと思います。

歌声が流れるラストシーンには思わず涙してしまいました。
(映画ではラストシーンでしたが、福島の情況については決してラストシーンではありませんね)。

(50代男性)

 

同じ日本のなかにありながら、今は一般の人が容易に立ち入ることができず“遠くなってしまった街”に、日本よりも遠く離れたベルギーの人が心を寄せたことに驚きつつ、映画を拝見しました。
実際に映画を見ていると、お仏壇に手を合わせたり、畑で収穫した茄子のヘタを三角コーナーに捨てたり…とごく普通の日本人の生活ではよく見るものの、たぶん外国にはこういう習慣はないのではないかな…というシーンがとても丁寧に描写されているのが印象的でした。
監督が3組のご家族と真摯に向き合い、根気強く観察し、あえて映像として切り取ったことに、あらためて驚き、監督の観察眼の鋭さを思わずにはいられませんでした。
また、土地や人々の日常生活といった“変わらないもの”という映画の根底に流れるテーマを、より一層浮かび上がらせているような気がしました。
貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございました。
(40代女性)
 
最初、はがきの写真を見て、ベルギーの映画かと思ったぐらい。
大きな木のトンネルを抜けた向こう側に、明るいひまわり畑?が見えるのが、
ヨーロッパぽい感じがした。
でも、よく見ると、向こう側は日本のお墓なんですね。
福島の避難区域の様子や、そこで生きることにした方たちの
大声を上げない生き方や暮らしに、いろいろな思いがわきました。
私自身、今の年齢になって、その後の生き方を考えている最中で、悩みだらけで。
なにをもって幸せというのか、わからない時代ですよね。
「残されし大地」の中でとくに好きだったのは、
ダチョウと松村さんが信頼しあっている感じのところ、
耳の悪いおばあさんが、おじいさんとナスを収穫するところ、
オカリナの伴奏でローレライを歌ったあと〜〜(※ここはネタバレになるので割愛させていただきます。^^)
夫が、こんなにいい作品を残してくれてよかったですね。きっとお子さん達も、大きくなって、お父様を誇りに思いますね。(50代女性)
 

見る人によって受け取り方は異なるのでしょうけど、最近父親を亡くし、「家」や「墓」などについて考えることの多い40代後半の私にとっては、グサリと突き刺さる映画でした。

また、これは福島だけの問題ではなく、私の地元もそうであるし、恐らく日本の多くの場所に当てはまる普遍的な「コミュニティの衰退(もしくは緩やかな死)」の課題を切り取ったものだと考えています。

福島はたまたま大地震と原発事故、それに伴う避難によって急激に加速しただけであって、同じ事は私の実家の近くでも確実に進行していると感じます。即ち、次の時代を担う若い人がいなくなれば遅かれ早かれそのコミュニティは崩壊する、と。そしてコミュニティが無くなった後には、そこに生活があった痕跡だけが残り、ただ風が吹きぬけるだけ。

間違っても「反原発」のみのコンテクストで語られるべき映画ではないと思います。(40代男性)

 

封切りまであと一カ月を切りました。

3月11日(土)より全国順次公開

映画「残されし大地」公式サイト