故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

ジルの遺言。 "冬は雪で遊ばせて"

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季節を感じるためにも、冬はもちろん雪遊びできれば素敵。

 

とはいえ、東京は毎年雪が降る訳ではないし、降っても遊ぶタイミングや場所があるかどうかは未知数。

 

「だったら、雪の場所に行かない?」

 

そうジルが提案してきたのは、3年前の2月だったか。

そうか、親としてはそんなプロジェクトも必要ね、と納得して探し、チョイスしたのが、越後湯沢の民宿と岩原高原での雪遊びだった。

 

レジャーとしてというより、”真にこどもにはこれが必要だ”という彼独特のきめ細やかな配慮からの提案だったなぁ、と今にしても思う。

私はというと逆に、時間に流されるままに毎日を過ごし、あまりそういったアイデア出しが得意な方でもなく・・。提案されたはじめて、そうね、 よし!と動き出すタイプ。

 

けれども、昨冬は映画公開のことでバタバタだったし、一昨年にいたってはジルがベルギーに冬ごと丸々帰っていて(それが死につながってしまうのだけど・・)私もひとり親で忙しく、雪の場所へ出かけるのは、ナシのままになっていた。

 

そして今年。

もう3年ぶりになるのか。

 

やっぱり子供達に雪遊びをさせたい、と思い立った。

東京からならばいろんなオプションがあるはず、違う場所にも行ってみたいなと、長野や群馬などいろいろ調べたけれども、車のない我が家が一番アクセスしやすいのは、やっぱり、越後湯沢だった。

 

同じ景色を辿ってしまうと、ちょっと悲しくなりそうだったけど、もうひと家族(やはり母ひとり、こども二人)が合流してくれて賑やかに。

女親二人、こども4人の旅。新幹線に揺られて1時間20分の旅。

 

でも、駅に到着して、凍結防止用の水が地面からチョロチョロ出ているロータリーをみると、あぁ、ここにジルと来たなあ、という当時の光景が重なってきはきた。

 

ハッと気づいたのが、私の友人が連れてきたこどもたちが、4歳と2歳。

まさに、3年前のうちの子。それにどんな意味があるということでもないけれども、過去の影、ここにありなん。当時のうちの子の幼さ。もう忘れていたけど、今より大変だった。そして、その時にしかない独特の可愛さがあったのは確かだなぁ。

 

今回は前回の民宿ではなく、かの代表的なホテル、苗場プリンスへ。

メガな場所で、ある種の機械的な対応をされたほうが、あまり感傷的にならずに済むかなと思ったのもあり。

そして、こどもスキー教室にもトライしてみた。

 

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オリンピック後だからというわけではないけれども、ちょっとこの姿はワクワクする!

私は九州出身。高校の修学旅行ではじめてスキーを経験したくらいで、その後もブラッシュアップはできなかったので、子供達にはもうちょっと得意になってほしい。

これに関しては、スキー好きの多いヨーロッパ出身で「子供の頃からやっていたよ」というジルの道を、多少でもなぞったほうがいいのかなと思ったのでした。

 

二人の感想は?

「思ってたより、見ているだけより、バランス取るのが大変だった〜」とのこと。

そうだよね〜。なんでも、見た目よりやってみたほうが分かるよね。

 

 

ところで、これは3年前の越後湯沢は岩原高原での写真。

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やはりキッズパークのようなものがあり、そこでチビ二人を丸いソリに乗せて行くジル。4歳と2歳、このころの子供達はまだ今より丸っこくて小さくて、芋虫みたいだった。

今じゃ一人でガンガン、登っています。↓

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 そしてこれは当時、ジルが作ったユニークな雪だるま。

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丸い雪の玉で装飾して、さらにはたくさん積み上げて、アンテナみたい。

目になったのは、ジルのパンツのポケットに入っていたユーロのコイン。

鼻が高いのも、なんとなくヨーロピアンです。

 

この雪だるまのように、形あるものはいつかは姿を消すものだけれども。

これからも、子供に向けられた真心だけは私なりに、受け継いでいこうと思います。

 

これからは毎年、何事もなければ「冬には雪遊び」を計画したいと思う。

なんとなく、それがジルの遺言でもあるような気がしているから。

予約はバタバタだったけれども、来年からはもっと早めに(笑)がんばるよ!