故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

黒い蝶。

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昨日は、あの小林麻央さんの命日だったのか。

海老蔵さんがブログで「黒い蝶が、私の周りをくるくると4回、舞ってくれました。」と書いていたというのを読んだ。

 

それであぁ、やっぱり黒い蝶なんだ!と思った。

 

2年前の夏、ジルが亡くなってから数ヶ月後の夏。

子供達を保育園に連れて行くとき、自転車の走る方向に、なぜか意味不明なほどの低空飛行で、黒い蝶が付いてくることが何回かあった。

伊豆に旅行した時、河津駅の人気の少ないホームに、スーッと黒い蝶が舞い降りてくる。宿泊したホテルのプールに出ると、子供達の頭をからかうように何匹かの黒い蝶がかすめてきたりもした。

 

同じ夏の終わり、子供達の音楽教室の発表会が。会場へ向かうタクシーの中で、長女が叫んだ。

「あ! また黒い蝶だよ。」 

片側二車線ずつの大きな街道は、せわしく行き交う車かショップに囲まれた人工的な風景。そんな通りで窓の外で必死で羽ばたき、しばし車に寄り添う黒い蝶がいたのだ。こんな排気ガスまみれのところで何をしている〜・・と、ちょっと心配な気持ちと、ハッとする気持ち、不思議な気持ち、そして感傷とが一瞬にしてないまぜになったのを覚えている。

 

そういえば是枝監督の映画「歩いても 歩いても」の中でも、確か最後の方のお墓参りのシーンで蝶が出てきたように思う。”死者の魂がモンシロチョウに”というようなことをだれかが言うのだ。

 

蝶だけではなく、一昨年の夏は、印象的な虫の登場が多かったように思う。

綺麗な緑色のバッタも、時々私の自転車やバッグに不必要なほど長時間、留まっていることがあった。

てんとう虫の思い出も。

ジルの映画の存在がNHKで紹介され、それを見て連絡をくれた奥山プロデューサーに会いに行く日。タクシーに乗り込みふと視線を落とすと、なぜか都会では珍しい二つ星てんとう虫が私の膝のあたりに鎮座していた。座ってふと、目が留まる場所に、わざわざ・・。

 

思い込みだったとしても、私の感覚が鋭敏になっていたからかもしれなくても。

虫は軽いから・・。亡くなった人の魂が、ふと乗り物にしやすいのかなと思う。

比較的コントロールしやすくて。しばしの小さな遣いになってくれるのだろうか。

 

違う意味で。虫には注意が必要(笑)。

 

今年の夏も、また現れてくれるかな。