もうすぐ10年。そしてもうすぐ5年 ⑨
Vol.9 天国の警備員さ〜ん!
今日もちょっと閑話休題。
過去の写真を掘り起こすだけでなく、時には現代の写真も。
ジルが亡くなってからもうすぐ5年。その間、子供達は本当に大きくなった・・と思う。私は毎日見ているから気がつかないけれども、今、このブログ・マラソンのためにもと過去にジルが残してくれた写真やビデオを改めて見ていると、その中にいる”幼児”の2人は、本当に小さくて面白い。
いま、長女は10歳。そして次女は8歳。
女の子が生まれると知った時、ジルは本当にデレデレだった。
そして2人めも女の子と分かった時、そこはかとなく嬉しそうだった。
「男の子だったら、(ジルが大好きな)サッカーの試合とか一緒に見にいけたのにな!」と口では言いつつも、2人の娘のパパになった、ということにはおそらく無上の喜びを感じていたと思う。
よくあることだけれども、そしてもちろん冗談だけれども「嫁には絶対に行かせない」というふうなことも言っていた。そして、ジェスチャー付きで「俺は一生、二丁拳銃!」ともよく言っていた。変な虫が寄ろうものなら、両手に携えた拳銃でバン、バン!とね。2人いますからね、2丁必要なわけですね。
出来ることなら、そのうちお城に閉じ込めようか、とも言っていた(笑)。(それが実際・・ジルの実家のそばには、有名な中世からのお城がありましたから。なんだか幽閉が似合いそうな場所でもありました・・笑。) 実際は積極的に外遊びに連れて行ってくれて、自然を愛する彼なので、やんちゃに育ててくれていたが。
どんな風に大きくなるのかなぁ・・。変な話、大きくなったらどんな体型になるのかなぁ。などと、いやらしい意味ではなく楽しみにしていた。・・それなのになぁ。あんなに子供達がまだ小さい時に、ジルの方が先に天国へと旅立ってしまった。
ジルが亡くなった時に一番信じられたなかったことは、「私がジルを失った」ということよりも、「子供達がパパを失った」ということだった。私の衝撃もものすごかったが、私にとっては変な話、冷たいと言われるかもしれないけれども、これまでだれかとお付き合いして、別れて・・ということを何度か繰り返してきたことの、もう一つの章が終わったという、呆然とした感覚に置き換えられないことはなかった。
なにせ、出会ってからたったの7年しか経っていなかった。想像もしなかったエンディングだけれども、”また別れがやってきたんだ”と自分に納得させられる、術がないわけではない。
ところが、子供達にとっては、パパはたったの1人だけ。もうどうしようもなく替えようがない存在。
私なんて、この歳にしてまだ父の方は故郷で元気。私のことをあれやこれやと、口出ししてくれながらコミュニケーションをして50年以上が経っているわけだ。それなのに、彼女たちには、そんな風にあれやこれやと口やかましくしたり、時には鬱陶しがられることもあったかもしれない、”二丁拳銃のパパ”は居なくなってしまった。
もちろん、あちらの世界で必死に見守っているのであろうことは知っている。
私の想像かもしれないが、こちらからあちらの世界は見えなくても、あちらの世界からはこちらが見えているのではないかな。向こうからは、私たちがガラス張りに見えている。でも残念ながら、口を出したくても出せない。ただ、ちょっと何か念力?か磁石のようなもので、時には私たちをうまくコントロールして、危ない状況から、無事な状況を作り出してくれたりすることができるんじゃないか。または、会わせたい人に、会えるようにちょこっとお手伝いしてくれたりしているんじゃないか。そして、声援もしているのかもしれないけれども、残念ながら私たちには普段は聞こえないだけじゃないか、と。
一度こんな夢を見たことがある。
ジルがこちらの世界に、一生懸命来ようと試みたらしく、そのパワーで我々の世界を遮るガラスが割れて、地面に粉々の破片が落ちていたというシーン。ジルの困った顔があった。
ただ、それだけの夢。でも、その時なんとなくピンときたのだった。
今、私1人では、子供達を守りきれているか、不安になることもある。2人だけで歩かせる、どこかへ行かせるのだって、留守番だって、何だって不安がゼロになることはない。できる限りのことは気をつけているけれども、限界があることも知っている。
でも。
きっとジルは天国でも”二丁拳銃”を持っているのではないかな。
私たちには見えないけれども、天国で警備員さんをやってくれているに違いない。
どうもそんな気がしてならない。