故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

もうすぐ10年。そしてもうすぐ、5年。 ⑪

Vol.  11 Gilles in Japan ギャラリー

 

今日もちょっと、閑話休題

ジルが日本に住んでいた時の、とても日本らしいファニーさのある写真を集めてみた。

 

考えてみると、2013年の11月にこちらに帰国し、2015年の後半はもう映画「残されし大地」のことに掛かりっきりだったから、住民としていろんなことを楽しんでいた期間って、一年半くらいか。本当に短いんだなぁ。

 

旅行が大好きでした。

今のように、みんなが自由に旅行できなくなったり、国と国とを行き来するのに、2週間の待機など大変な犠牲を払わなくてはならなくなったこと。もし、今ジルが生きていたら、どんなことを言っていたかなぁ。

 

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2014年6月 那智の飛龍神社にて。肩に乗っているのは当時4歳ジャストの長女。

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同じく2014年の6月。和歌山の湯ノ峰温泉にて。浴衣はいつも大好きでしたね。

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2016年3月。両国国技館、3月場所にて。白鵬はパネルです(笑)。

相撲はよくテレビでもみていて、大好きでした。この時は、まだ子供2人とも小さかったので

スペース的にも大丈夫だろうと、4人家族で”マス席”での観覧に挑戦しました。

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2014年秋、箱根にて。ロープウエイの内部を模した写真撮影スポットにて。

大涌谷の駅だっけ?

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2015年6月。これは福島県の居酒屋にて。映画「残されし大地」の撮影で現地にいた時、

他の撮影クルーが取ってくれたものだと思う。'Izakaya'も大好きでした。

 

写真を並べて見て思い出したことがひとつ。

以前、中学生の時に北朝鮮に拉致されたままの「横田めぐみさんの写真展が」開かれたという報道があった。めぐみさんというと、ご両親の前からいらっしゃらなくなった当時の、あるアイコニックな写真1枚を思い浮かべる方が多いと思う。けれども、その写真展に並んだ写真でたちは、それまでの人生の折々で、生き生きと生きていた1人の普通の少女の息遣いを、しっかりと伝えているように思えた。

 彼女は仲の良いお友達だったかもしれない。彼女は近所の感じのいい女の子だったかもしれない。普通に将来を夢見た話をし、時には冗談で人を笑わせていたかもしれない。”報道の人”ではなく、身近にいた誰かなんだ。そんな風に思わせるに十分だったと思う。

 

ジルも46年の人生の中で、それまで毎日を周囲の人に見守られ彩られ、時にジルから彩りながらも、確かに普通にそこに存在していたんだと思う。写真が伝えてくれるのは、誰にも共感できる人生の楽しみを切り取った瞬間の数々と、それがある時奪われてしまう事もあるという事実の残酷さ。そして、残された家族や友人たちの切なさだ。

 

めぐみさん=あの1枚の写真の人、ではない。

ジルも、ただ偶然テロで亡くなった人、じゃぁない。

 

居なくなった人の写真の展示やコラージュには、そんなことを思わせる力も込められていると思う。