故ジル・ローランを偲んで

A blog to remember Gilles Laurent, who died in Brussels Attack in the middle of making his film about Fukushima / this blog is organized by his wife Reiko Udo

女性たちの感想ノート

ジルの映画「残されし大地」について今まで頂いた感想、特に女性からのコメントをいくつか掲載させて頂きたいと思います。(ベルギーの映画館、京都映画祭などで先んじて見てくださった方たちの感想です。)

 

私が女性ですから当たり前といえば当たり前ですが、私にとって、コミュニケーションは女性どうしが圧倒的です。それにしても、どうも気づいたことがあります。どうやらこのジルの映画は、どこか女性たちの心にすっと響き、浸透していくものがある、不思議なムードを持ったドキュメンタリー映画なのかもしれない・・・ということです。

 

「重いテーマを扱っているはずなのに、見て嫌な気持ちにならない。心地よくて、そして考えさせられるものがある」「ゲンコツを上げるのではない、怒声があるのではないけれども、美しいやり方で伝えてくれる」・・昨日、ベルギー大使館での関係者上映会を終えて、私の身近な女性たちからいただいた感想もそうでした。

 

ある友人(それもやはり女性)は一言、「『君の名は。』も見たけど、こっちの方が良かった。大人にはこっちでしょ」とも言ってくれました。すごいことです。(手前味噌ですみません! でも、ジル本人でも配給会社が言うのでもなく、私が実際に言われたこととして、ここで書くことは許してくださいな。)

 

ジル亡き後、筆頭おしゃべり係として残されたのは女性である私。

そこにも何か理由があるのかも知れません。この映画が、特に女性たちの気持ちの奥底に響くことがあるとしたら・・。それはじわじわと輪になり広がり、爆発的なものではなくても、いつか思いがけず後世に伝わっていくことになるのではないかと思っています。

皆様、ありがとうございます。多くの方たちに見ていただける機会は、気がつくと、もうあと3ヶ月ほどで、春になると訪れます。

この感想ノート、折に触れてまた続けていけたらと思います。

 

「映像も音も美しく、淡々としてるのに物語もあり、心にしみいるようでした。神は細部に宿ると言うけれども、細かいところまで目線が行き届いているのに驚きました。シャイな福島の方たちにあれほど心を開いてもらっており、日本人の感性にシンクロした視点もすごい。 
 中でも個人的に好きだったのが、後半近くで夫婦がお墓まいりするシーン。立派な先祖のお墓に、たくさんの花とお供え物を持っていく気持ちと、測定機を携行する気持ち。それが彼らの置かれた現状と心情を浮き彫りにしていて、思わず唸りました。
 記録映像としても貴重だと思います。たくさん報道されているので福島のことは知ってると思い込んでいたけれど、これほどまとまった映像を見るのは初めてだということにも気づいた・・・。
 監督としても素晴らしい才能を持ってらしたのだと思います。長生きしたら生み出されるはずだった作品を思うと、残念でなりません。」(40代・会社員)

 

本当に大切なメッセージがある素晴らしい映画だから沢山の人に見てほしいです。福島のことだけでなく家族や自分の人生、自然、動物、共存、私達のしていること、、、沢山考える機会をくれる映画だと思う。(30代・自営業)

 

映画は、私はオープニングからハンカチが離せず・・・怪しい人でした(苦笑)。
音がね、もう本当に日本の田舎の音で。私も田舎者なので、色々な記憶に訴えかけられる感じで、そこからすべての日常生活が奪われたことが自分のことのように感じられてすごく辛かったです。
夫は映像がとてもきれいだと言っていました。そして、最後の、ご婦人がたのコーラスから無音になり、淡々と映し出される風景に、鳥肌がたったそうです。(30代・教師)

 

本当に言葉では表せられない程深く心に染み入る映画でした。見てから2日経ったも今でも心が震えます。あの映画を観てから、世界が静かに変わりました。この想いを伝える言葉が見つからない自分がもどかしいです。。 それ程あの映画を届けてくれたジルさんに、形として完成させて世の中に送り出した鵜戸さんに感謝しています。 どうしても映画が観たくて、鵜戸さんのメッセージを聞きたくて、上の子供2人は旦那さんに預け、一番下だけは連れて新幹線で京都に向かいました。もしかしたらじっとしていられず扉付近で立ちながら観るかな、それでもいいから観たい、、、と行ったのですが、なんと1歳4ヶ月の長男は最初から最後まで膝の上でじっとスクリーンを見上げていました。普段はいたずらばかりでじっとしていられない男の子ですから、私自身びっくりです。 京都から愛知の岡崎の家に戻ったのですが、何だか異空間から舞い戻ったかのような感覚になりました。映画の余韻か、数年ぶりの1人(+チビ)外出だったからか、初めての夜の京都だからか、、、『もしかしたらあの映画は神さまがつくったのかもしれない…』ふとそう思いました。 ただただ、ジルさんに、鵜戸さんにありがとうを伝えたくて。とりとめのないメールでごめんなさい。『残されし大地』、私の心の中で一生光り続ける映画です。  (30代・主婦)

 

とても素晴らしい映画でした。福島のことこの2、3年あまり聞かないのに、実際こんな状況なんだということと、そこに住む人たちの生活と現在の思いが語られていて、日本人として色々と考えさせられました。また旦那さんは音響エンジニアだったからなのか、すごく色々な音に気を使っているようでよかったです。木の茂みが風に揺れる音、夜に虫がなく音、普段聞けば何気無い音なんだろうけど、原発の事故の後の街では、ひっそり静まり返った生気のない環境の中で聞こえる生命の音として表現されているようで素敵でした。前から私の周りの人にはこの映画を宣伝していたのですが、もっと勧めたいです。こんなに素晴らしい映画を残してくれたジルさんに感謝です。(40代・主婦)